アニメ四十年戦士、ヒイロヒカルです!
今回は、私と銀河英雄伝説との出会いについて語りましょう。
大学生だったあの頃、私はレンタルビデオ屋に足を運んでいた(この時点で時代を感じる人もいるだろう)。目的もなく棚を眺めていた私の目に飛び込んできたのが、『銀河英雄伝説 我が行くは星の大海』 というタイトルのビデオだった。
「お、なんかカッコいいタイトルやん?」
手に取ると、監督は石黒昇。そう、あの『超時空要塞マクロス』の石黒昇である。マクロスにどハマりしていた私は、「内容はよくわからんが、石黒昇がやるなら間違いないやろ」と迷うことなくレンタル。
そして――見た瞬間に沼に沈んだ。
セリフの一つ一つが渋い。戦略が緻密。背景はまだよくわからんけど、とにかく壮大。
何より、大艦隊が宇宙でぶつかり合う戦闘シーンが鳥肌モノだった。
「これは…本編も絶対に見ねばならぬ!」
調べてみると、これは本編のプロローグ的な作品で、続きはOVAで展開されているという。これは見るしかない。
ビデオデッキなしの戦い
しかし、当時の私は一人暮らしでビデオデッキを持っていなかった。
では、どうやって見ていたのか?
- レンタルビデオ屋でビデオデッキごと借りる(当時はそういうサービスがあった。もちろん有料)
- ビデオデッキを持っている友達の家に押しかけ、一緒に見る
そう、そんな涙ぐましい努力をしながら銀英伝を観続けたのである。
幸いにも、一緒に観た友人も銀英伝にハマり、毎回彼の家で鑑賞会を開いた。
「キルヒアイス、死んでもうたやん…」
第1期を見終わるころ、私はすでに銀英伝の虜だった。
壮大なネタバレとの遭遇
そんなある日、中学の同級生に久々に会った私は、興奮気味にこう話した。
「めっちゃ面白いアニメ見つけたぞ!銀河英雄伝説っていうんやけど…」
すると、彼はあっさりと言った。
「ああ、原作で最後まで読んだからよく知ってるで。そうそう、ヤンは途中で死ぬよ。ロイエンタールは謀反を起こすよ。ラインハルトも死ぬよ。」
「………え?」
――私の中で何かが崩れ落ちる音がした。
「おいおいおい! なんてこと言いやがるんや!!」
壮絶なネタバレを食らった私は、絶望の中に叩き落とされた。
ネタバレを広める者
しかし、驚くべきことに、その後の私は自ら「ネタバレの使徒」と化してしまう。
一緒に銀英伝を見ていた友人に、うっかり「ロイエンタールは謀反を起こすぞ」と口を滑らせてしまったのだ。
すると、友人は鼻で笑いながら言った。
「そんがぁなもん、ラインハルトとロイエンタールのやりとり見よったら、すぐ分かるろうが! おまん、そんくらいの伏線も気づかんと、いちいち驚いちゅうがか? そんなんで銀英伝語るがかえ? アホか、おまん!」
とまくしたてられたので、余計にグサッときた。(友人は高知県出身)
それでも銀英伝は面白い
その後、気を取り直した私は、原作小説を一気読みした。
ネタバレを食らっていても、やはり銀英伝は面白い。
結局、OVAもレンタルが始まるたびに借り、最後まで見届けた。
そう――銀英伝はネタバレされても面白いのである!
いや、むしろネタバレされることで、登場人物の行動や伏線をより深く味わうことができたのかもしれない。
こうして私は、銀河の歴史がまた1ページ刻まれる瞬間を、最後まで見届けたのだった――。
そして、ネタバレは続く…
それから約20年後、私は職場で銀河英雄伝説好きな同僚を4~5人見つけた。これは語らねばならぬ――!
そう思い、銀英伝カフェで銀英伝を語る会を開催。
集まったのは銀英伝を愛する猛者たち。小説もアニメも全部見ている歴戦のオタクたちが、銀英伝にちなんだドリンクや料理を楽しみながら銀英伝談義に花を咲かせた。
「ヤンの戦略の何がすごいかってな…」
「いやいや、ロイエンタールの最期は男のロマンやろ?」
「ミッターマイヤーはやっぱり相棒として最高やな!」
そんな中、ふと顔色の悪い後輩に気づく。
どうやら、彼は銀英伝好きとは言っていたが、まだ初心者だったらしい。
ちょうどキルヒアイスの早すぎる死に衝撃を受けている頃だったのだ。
そこへ容赦なく浴びせられる、歴戦の銀英伝オタクたちによるトーク。
「ヤンの死のくだりがさぁ…」
「ロイエンタールの謀反は必然やったよな?」
「ラインハルトも最期はなぁ…」
――後輩、沈黙。
あの時の私と同じように、壮絶なネタバレを食らった瞬間だった。
「……すまんな。」(心の声)
しかし、彼も後に気を取り直し、最後まで銀英伝を見届けた。
そしてこう言った。
「ネタバレされても、やっぱり銀英伝は面白いですね!」
そう、これが銀英伝のすごさなのだ。
ネタバレを食らっても、なお面白い。それが銀河英雄伝説――。
そして、また銀河の歴史に新たなページが刻まれたのである。
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