リメイク版『宇宙戦艦ヤマト2199』の感動冷めやらぬ中、満を持して登場した続編『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』。戦後のガミラスとの同盟、ガトランティスの襲来、そしてアンドロメダをはじめとする地球艦隊の大活躍――序盤は正直、胸が熱くなりました。
しかし、物語が進むにつれて、といった抽象的な要素が増え、次第に私は置いてけぼりを感じてしまいました。
この記事では、そんな一人の“昭和リアルタイム世代”としての視点から、『2202』の魅力と違和感を率直に語ります。ガンダムや銀河英雄伝説との比較も交えつつ、あの物語をもう一度、振り返ってみませんか?
こんにちは、アニメ四十年戦士・ヒイロヒカルです。
今回は、旧作『さらば宇宙戦艦ヤマト』と『ヤマト2』のリメイクとして制作された、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』について、私の正直な感想を語らせてください。
🚀 期待していた。とても。
まず最初に言っておきたいのは、2202にはすごく期待していたということです。
『2199』があれだけの名リメイクだったのだから、続編にも当然希望を抱くじゃないですか。
そして、冒頭から確かに良かった。
- 戦後のガミラスと地球の同盟関係。
- ガトランティスという新たな強敵に対する共闘構図。
- あの「急速な戦後復興」を時間断層というSF設定で整合させたセンス。
- そして、何より地球艦隊がカッコよすぎる!アンドロメダなんて、男のロマンの塊。
――序盤は「これは来たぞ」と、胸が高鳴ったものです。
🌌 でも、だんだん…スケールが膨らみすぎた
ところが、物語が進むにつれて、私の頭も心も、少しずつ追いつかなくなっていきました。
- 艦隊の数が…多い。多すぎる。
- 敵味方入り乱れて、どこを見ればいいのか。
- そもそもスケールが巨大すぎて、個々のキャラクターの描写が薄れる。
- 「高次元存在」とか「縁の力」とか、難解で抽象的なテーマが前に出すぎる。
宇宙戦艦ヤマトは、もともと「超リアルなSF」ではなかったけれど、“未来ならこういうこともあるかもしれない”と思わせるほどの現実味があって、そこが大きな魅力でした。
科学の延長線上にある世界観だからこそ、ヤマトの物語にぐっと引き込まれていたんです。
2199の終盤あたりから少しずつ雰囲気が変わり始め、科学では説明できない超常現象がちらほら出てくるようになりました。
そして2202ではそれが一気に加速して、「奇跡」や「神の意志」のような要素が前面に出てきて…。
もちろん演出としてはドラマチックなんだけど、あの“未来のリアリティ”を大切にしてきた自分としては、ちょっとついていけないかも…という気持ちになってしまいました。
⏳「時間断層」は優れた設定だった。…けど最後が……
時間断層――これは最初、非常によくできた設定だと思いました。
旧作での「え、地球復興早すぎでは?」というツッコミどころを、**“外界の10倍の速度で稼働する兵器開発施設”**というアイデアで見事に説明してくれた。
そこに政治と軍事のバランスの崩れ、人間の傲慢、科学の暴走――いろんな要素を込めたのも面白かった。
……が、**最終的に「国民投票で、時間断層と引き換えに古代と雪を救う」**という展開には、さすがに「え?」と思ってしまいました。
二人は確かに主役だけど、国家レベルで時間断層を捨てる理由になるか?
あそこまで“人類の総意”を動かすには、もう少し描写が必要だった気がします。
🤖 テレサでよかったのでは?
もっと言えば、「高次元存在が人類に判断を委ねる」よりも、旧作のように“テレサが助けてくれる”でよかった気がします。
ヤマトに必要なのは、難解な宇宙論ではなく、心にストレートに響く決断と感情だと思うのです。
🌠「銀河英雄伝説」との違いに感じたこと
『2202』が進むにつれて、「高次元存在」「宇宙の意思」「精神的進化」…といったスピリチュアルや哲学的な方向にシフトしていくのを見て、私はふと思いました。
「あれ、自分が好きだった宇宙戦って、もっと“人間同士のぶつかり合い”だったよな?」
たとえば、私が大好きな**『銀河英雄伝説』**には、そういった超常的な要素は一切出てきません。
登場するのは、才能も愚かさも愛情も野心も持った人間たち。
戦略・戦術・政治・理念――それらを巡って展開するのが、銀英伝の魅力でした。
だからこそ、2202の「人智を超えた力が物語を動かす構造」に、私は少し置いてけぼりを食ったような気分になったのかもしれません。
🤖「ガンダム」でいえば、1stの“あの程度”がちょうどいい
もうひとつ、ガンダムシリーズとの比較もしてみたくなります。
- 『機動戦士ガンダム(1st)』のニュータイプ概念は、確かに少し不思議な力だけど、あくまで“人間の進化”の範疇にとどまっています。
- ところが、『ガンダムUC(ユニコーン)』になると、“宇宙が意志を持って語りかける”レベルの壮大さに……。
正直、私はあれはちょっとやりすぎかなと思った派です。
そして気づきました。
『ユニコーン』と『2202』――どちらも福井晴敏さんがシリーズ構成を担当されているんですよね。
つまり私は、「福井テイストの哲学的・宇宙的テーマ」にはあまりフィットしないタイプだったのかもしれません。
🚀 最後に
これは好みの問題です。
「大きなテーマに挑んだ」こと自体は素晴らしいし、刺さる人には深く響くはず。
ただ私は、波動砲の重みと、沈黙の中で交わすまなざしと、1隻の艦が突き進む物語が好きだった。
『2202』が提示した“新しいヤマト像”を否定するつもりはありません。
でも、「旧来のヤマトを愛してきた者」として、語らずにはいられなかったんです。
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