どうも、アニメ四十年戦士、ヒイロヒカルです!
今日は、「銀河英雄伝説」の中でも屈指の激戦、第8次イゼルローン要塞攻防戦について考察しよう。
この戦いで帝国軍の司令官カール・グスタフ・ケンプは、敗北を悟ると最終手段としてガイエスブルク要塞をイゼルローン要塞に衝突させる決断をした。
しかし、もし最初から要塞衝突を作戦の主軸に据えていたら、帝国側の被害はもっと少なく、ケンプも戦死せずに済んだのではないか?
では、なぜラインハルトは当初その作戦を採らなかったのか? いくつかの視点から考えてみよう。
1. 戦いの流れを簡単におさらい
- ガイエスブルク要塞をワープさせるという帝国の新戦術により、イゼルローン回廊に突如として巨大要塞が出現!
- 両要塞の主砲の応酬が始まるが、互いにダメージが大きすぎるため、継続は難しくなる。
- 帝国軍は歩兵部隊を送り込むが、シェーンコップ率いる薔薇の騎士連隊に撃退される。
- ミュラー艦隊が迂回攻撃を試みるも、亡命帝国軍のメルカッツが迎撃。帝国軍は大損害を被る。
- そこにヤン・ウェンリーが増援を率いて帰還! 形勢は一気に同盟側有利に。
- 追い詰められたケンプは、最終手段として要塞衝突を決断。
- しかし、ヤンの指揮による集中砲火でガイエスブルクの航行用エンジンが破壊され、制御不能に!
- イゼルローンの主砲の直撃を受け、ガイエスブルク要塞は大爆発。ケンプ戦死。
- 帝国軍は撤退するが、無謀な追撃を行った同盟軍のグエン・バン・ヒュー、アラルコン部隊がミッターマイヤーとロイエンタールの増援に待ち伏せされ、壊滅。
- 結果的に同盟側の勝利となり、帝国軍の損失は甚大だった。
2. ラインハルトが最初から要塞衝突を選ばなかった理由
では、なぜラインハルトは最初からガイエスブルク要塞をイゼルローンにぶつける作戦を採用しなかったのか?
① ケンプに手柄を立てさせるため
ケンプは元々、ミッターマイヤーやロイエンタールと比べて評価の低い提督だった。彼自身も「自分はあの二人より遅れている」と焦っていた描写がある。
ラインハルトにとって、部下の能力を最大限に引き出し、功績を挙げさせることは、組織の成長にもつながる重要な要素だった。単に「要塞をぶつけて終わり」では、ケンプの功績にはならない。
そこでラインハルトは、あえてケンプに裁量を与え、彼自身の判断で勝利を掴ませようとしたのではないか?
もしケンプがイゼルローンを攻略し、ラインハルトの期待に応えることができれば、彼の評価も上がる。結果として、ラインハルトの部下の層も厚くなるというメリットがあったはずだ。
だが、結果はご存じの通り。ケンプはヤン・ウェンリーという「予想外の天才」に敗れ、要塞衝突という最終手段をとらざるを得なくなった。
② 可能なら要塞を無傷で手に入れたかった
ガイエスブルク要塞は、もともと帝国側の重要な拠点だったものを移動させたもの。イゼルローン要塞もまた、戦略的価値の高い要塞であり、どちらも軍事的資産として大きな意味を持つ。
もし両要塞をぶつけてしまえば、両方とも使用不能になる可能性が高い。
戦争は続く以上、帝国にとっても同盟にとっても、こうした巨大な要塞を維持できることは大きなアドバンテージになる。
ラインハルトは、最初から「要塞衝突=共倒れ」になることを避けたかったのではないか?
それよりも、ガイエスブルクを利用してイゼルローンを攻略し、そのまま要塞として利用できるほうが理想的だったはずだ。
結果としてガイエスブルク要塞は失われたが、これは「最後の手段」だったからこそ許容されたのであり、最初から捨てる選択肢にはなりえなかったのではないか。
③ フェザーンの思惑を警戒していた
この作戦の発案者であるシャフト技術大将は、フェザーンと裏でつながっていたことが後に明らかになっている。
フェザーンの目的は、帝国と同盟の戦力を削ぎ、漁夫の利を得ることだった。
もし最初から「要塞特攻」などという極端な作戦を採れば、ラインハルトはフェザーンの思惑通りに動いたことになり、結果としてフェザーンの戦略的影響力を強めることになってしまう。
この時点でラインハルトはフェザーンを完全には信用しておらず、むしろフェザーンの狡猾な策謀を警戒していた。
そう考えると、最初から要塞を捨てるような計画を採らなかったのは、ラインハルトの政治的な判断でもあったのではないか?
④ ラインハルトの軍事ロマン
ラインハルトは単なる戦略家ではなく、軍事的ロマンを追い求める人物でもあった。
キルヒアイスを失い、自分の進む道を見失いかけていた彼は、ひたすら戦い続けることで喪失感を埋めようとしていた。
その結果、合理的な作戦よりも「戦って勝つ」ことを優先してしまった可能性がある。
最初から要塞をぶつけるだけの作戦では、「俺の軍勢が勝った」という実感を得ることはできない。
もしキルヒアイスが生きていれば、「ガイエスブルク要塞を最初からぶつけるべきだ」と進言したかもしれない。
だが、彼はもういない。
ラインハルトは戦い続けること自体が目的化してしまい、「最短で勝つ」ことよりも、「戦いを楽しむ」ことを優先してしまった可能性もある。
結論:合理性だけでは説明できないラインハルトの判断
まとめると、ラインハルトが最初からガイエスブルク要塞をイゼルローンに衝突させる作戦を採らなかった理由には、以下のような要素が絡んでいたと考えられる。
- ケンプに手柄を立てさせたかった
- ただの指示待ちではなく、自ら考え行動できる有能な部下を育てたかった。
- 要塞をできるだけ温存したかった
- ぶつけるよりも、攻略して占領し、拠点として活用する方が戦略的価値は高い。
- フェザーンの影響を避けたかった
- 「要塞特攻作戦」はフェザーンの思惑通り。ラインハルトはそれを警戒していた。
- ラインハルト自身の軍事ロマン
- ただ勝つのではなく、軍を動かして戦い、征服することに意義を感じていた。
もしキルヒアイスが生きていたら、彼は「合理的な戦い方」を提言し、ラインハルトを説得していたかもしれない。
しかし、キルヒアイス亡き後、ラインハルトの意思決定は次第に「自分自身の欲求」によるものが多くなっていった。
第8次イゼルローン攻防戦の戦い方は、まさにその影響が出た一例と言えるだろう。
「銀河英雄伝説」は、ただの戦記モノではない。そこには、指導者の葛藤、決断の重み、人間ドラマが詰まっている!
だからこそ、何度見ても面白いし、こうして語りたくなるんだよな!
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